政局 political situation 2005 8 5
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気になること 2005 8 5
みんなが、気にしていることは、郵政民営化法案の行方でしょうか。
しかし、この法案が成立しても、毒にも薬にもならぬ法案ですから、
それほど、気にすることはないと思います。
たとえ、法案が成立しても、作り直しが必要でしょう。
今の状態では、「本の表紙は変えたけれど、本の中身は変わってない」という感じです。
この前の「道路公団改革」の時と、同じです。
「とりあえず、やりました。中身は、これから」という感じでしょう。
道路公団改革も、郵政民営化も、「かけ声は、よかったのですが、中身は、これから」という感じでしょう。
いずれにせよ、二つの改革は、これから時間をかけて、議論していくことになるでしょう。
そういえば、年金改革も、同じような感じでしたね。
何だか、いろいろな政策テーマを食い散らかしたような感じになりました。
郵政事業 postal business 2005 5 2
郵政改革が、わかりにくいのは、
郵便局が、郵便事業だけでなく、貯金などの金融業務も行っているからです。
ところで、素朴な疑問を感じませんか。
郵便局が、なぜ、郵便だけでなく、銀行のように貯金まで扱うのか。
この問題は、明治時代まで遡る必要があるのです。
日本は、明治維新の後、外国列強に対抗するために、
富国強兵という国策を推進する必要があったのです。
そのためには、お金が必要です。
ところが、その当時は、まだ銀行というものは、発達していませんでしたから、
政府が、銀行から、お金を借りることはできなかったのです。
もちろん、外国から、お金を借りる方法もありましたが、
外国列強に対抗するために、富国強兵を行うわけですから、
外国から、お金を借りることはできないわけです。
そういうわけで、郵便局を全国各地に作って、
その郵便局で、国民から広く資金を集めることになったのです。
こうして、郵便局の貯金が、富国強兵を行うための資金として使われたのです。
このようなシステムは、戦後も必要でした。
戦後は、富国強兵ではなく、戦後復興のために、
国民から広く資金を集める必要があったのです。
さて、現代。
現代においては、戦後復興は終わりました。
しかも、銀行制度は、完成し、大きく成長しました。
そういうわけで、本当は、郵政民営化ではなく、「郵政廃止」なのです。
もちろん、この場合の「郵政廃止」とは、郵便局における「貯金業務」の廃止です。
郵便局の本来の仕事である郵便業務は、国営として残すべきです。
さて、金融機関としての「郵政廃止」は、すぐにはできない問題です。
こういう問題は、時間をかけて、段階的に行うべきです。